one day I remember

今思うこと、ある日いつか思い出す、その日のために

1/12 L'Arc~en~Ciel TOUR MMXX in 大阪城ホール に行った後、物思いに耽っただけの文章

 

 

「さよなら重力 僕は自由だ」

 

 

言葉通りの軽やかさ、且つのびのびと歌い上げた姿をみて、

この曲が20年の時を経て「解凍」されたのだと思った。

 

 

 

25thのライブで「Don't be Afraid」を聴きながら、

きっとラルクにはまだ新たに歌える歌があると信じて

「未来を恐れないで」と自分に言い聞かせていた。

でも、何か名目がなければ、何かを背負わなければラルクをやらない、

ラルクをやらなきゃいけないっていう使命感でしか船は動かない、

その腰の重さもhydeさんの言葉の端々に感じていて。

いつかのホールツアーのようなあの軽やかなラルクをもう見ることは

今後ないのかもしれないと思う自分もいた。

知らないうちに新曲が3年前になっていた。

あっという間に歳を重ねあっちはオーバーフィフティー、私は三十路ど真ん中。

今日見たラルクが最後だと覚悟するのも当たり前になった。

 

 

ツアーが発表されたとき、そこには何もなかった。

新しい曲も新しい施設も政府もお国の事情もなかった。

ただ、ツアーをやるという事実だけがそこにあった。

周年だからといったおきまりのベスト盤的なセトリじゃなくていい。

何らかの事情に合わせたコンセプチュアルなセットじゃなくてもいい。

思うままに、集まった4人とスタッフで、思い出したかのように過去のリクエストをひっくり返して。

hydeさんのアナウンスでライブが始まって、

見たこともないセンターステージで、

最初のドラムが、ベースが、ギターが、声が、重なって放たれた瞬間

それはそれはあり得ないぐらいバチッとはまった状態で

軽やかに弾けて飛んできた。

 

 

25thライブの時のしょっぱなの「虹」の重たさといったらなかった。

大きすぎる船がまだ鎖につながれているような感じさえした。

遠くて遠くて遠くで後光が差して

眉のないhydeさんの表情がわからなかった。

 

 

 

船は少しコンパクトになった気がした。

ステージにすっぽり納められたPA卓。小さくなったkenちゃんのアンプ。

「お金少し高くてもいいから大きいステージで近くで見れたらいいでしょ?」

的なことをkenちゃんいってたけど、大きくなったっていうより部品が良くなってそれぞれの性能がアップしたみたいな。

それぞれに手が行き届いているような気持ちの良い船。

 

 

hydeさんは言った。

「4人集まってますよ~。えびっさん(恵比寿)がいる、七福神みたいなね。」

ふしぎと「天然記念物」より身近に感じる。この前初詣いったからかな。

ニコニコして言う。ガチャガチャした身なりで。

「嬉しいかー!?俺も、嬉しい!!!!」

そっか嬉しいんだ。

4人久しぶりに集まってライブできてんの本人も嬉しいんだ。

嬉しくてやってんならそんな嬉しいことないよ。

ほんと、なんもなくていいんだよ。背中に何も乗っけなくていいんだよ。

ただただ4人の骨太で軽やかな音きけて、久しぶりに気持ちが軽くなった。

こういうラルクが聴きたかったんだ!

 

 

そんな、ある種ラルクラルクにかけてた重力からの解放を感じるとともに、

様々な曲でその曲の周りにまとわりついていた氷が解けていくような瞬間もあった。

 

 

 

瞳の住人」を聴きながら、ふと

 

「外の空気に首輪を引かれ 僕は背を向けた」

 

という歌詞が耳に引っかかった。

今の今まで意識してなかったけど、これ内側じゃなくて外に繋がれてるんだ。

「君の匂い」は内側で、そのころのhydeさんにとっての内側を示すものといえば

いくつか思い当たるものがある、と、同時に外側が何にあたるかもわかる。

びっくりするぐらい当時のhydeさんの状況を悲観してみた姿が当てはまった。

 

「うつりゆく瞬間をその瞳に住んでいたい」

 

日々変化する様子は何かにとどめておかないと一瞬で忘れてしまうということは自分も経験済みで。

後ろ髪惹かれる思いでこの人は外に出て行ったのだろうか、居心地の良いところから、いまだどうともいえない現場へ。

などとまぁ、悲観するだけ悲観しまくって。

正直、ラルクの中で私ナンバーワンの美メロソングだと思っているんですが、

それに対してこの歌詞ぶっこんできたの、hydeさんエグい。

リーダーめっちゃ自信満々に渡したと思うんよこの曲。

でこの歌詞帰ってくるんですよ。皮肉かといわんばかりのこれ。私ならしばらく灰になりそう。

 

まぁ、この曲のエグさを個人的に痛切に感じつつも、歌い上げるhydeさんはおそらくあのころの気持ちなどどこかへいって、すっかり浄化された状態で。

 よかったなぁと最終的には胸をなでおろす。そんな1曲。

 

 

大阪3日目ともなればステージが動くことにもなれ、MCも若干ネタが付き、「もうええやろ?」とkenちゃんに呆れられるが、

ひとたび話し出すとやっぱり下ネタと緩い小話が繰り広げられる。

髪を揺らすだけで歓声がもらえるドラマーに不満げなギター&ボーカル。

「俺がポニーテールにしたらユッキーがしゃべってくれるんか?」というと、ユッキーはすかさず苦笑して身をドラムセットに隠す。

そのあとのMCではkenちゃんラルク加入当時のエクステ話に花が咲く。

「あれは、冗談やったの?本気だったの?これ付けたらええんちゃう?ってニヤニヤしながら持ってきて。」

 「いや、当時は本気やったと思うよ。」とフォローを入れるteっちゃん。

当時持っていたブルーのギターを全否定されるkenちゃん

「そんなん知らんかってんなぁ。友達に言われたけど、kenちゃんの人生、ギター、〇〇ニー、ギター、〇〇ニー、ギター、〇〇ニーやなって。中学生から変わっとらん。」

「間にギターあってよかったな。」

「ギターヌルヌルやけどな。リーダーもやろ?」

「ん?聞こえない?」

「ユッキーのスティックもやろ、なぁ?」(マイクをもっていく)

 「ぼくのは、すべすべです。」

「はい、今日の一言『すべすべ』ね。」

4人(ほぼ2人)の会話がほんとすごく自然。

 

 

 

そんな会話を座りながらゆっくりとしていて。

でも、このフォーメーションには既視感があった。

 

「では、聴いてください『TIME SLIP』」

 

hydeさんがいうと、ぐっっと足を踏み込むような音が鳴り始め、

緩やかなムードが少し変わった。

自分が思っていたよりも力強いドラムの音だった。

原曲のうつろい、流れるような雰囲気というよりは

足跡を刻むようなしっかりした音だったように思う。

 

 

この曲の歌詞もまたちょっと行き詰った感のある内容だ。

曲調はとても穏やかなのに、流れ過ぎ去ってしまう時を憂いているように思う。

そして、同じ時を歩んできた人に同意を求めている。

当時のことを考えれば、まぁ、無理もない。

年齢的にも、なんか自分もっと他の道があったんじゃないかとか

他にできたことあったんじゃないかとか

ここではないどこかにふと身をおいてみたいとか思う時期で

そういや自分も考えていた気がする。焦る時期だ。

終わりの方には、「それでも腕を伸ばして ささやかな夢を僕らは辿っていく」

と、少し前を向いた歌詞になるんだけれども、

総じて「ため息」が似合う曲だと思っている。

 

あれから20年。

ささやかでは到底収まらない夢をたくさん辿ってきたラルクアンシエル

ほんの少しだけ眉をさげて、あの時よりすこし優しい「ため息」をはきながら

たしかな足取りを歌っていたんじゃないだろうか。

そして、この曲に原曲からは感じることのない力強さがあったのは、

「淡い炎を絶やさぬよう」という気持ちの表れにも思える。

 

 

 

そして、冒頭に書いた「ALL YEAR AROUND FALL IN LOVE」の歌詞。

 

 

まさか最後にこの曲をもってくるとは。

もう、「REAL」大好き芸人(じゃないけど)の私は嬉しくてしょうがなかった。

当時はもんのすごいメイクのhydeさんが壮大な愛を歌っていらっしゃる!

という感じで高校生の私には正直中身はピンとこず。

 壮大すぎると温度感じないもんなのかなぁと、安っぽいハリウッド映画を

思い出したりして(そもそもそんなに映画見てない)

歌詞が本人になじんでいるようには到底思えなかった。

それは、そのツアーの最後で歌っていた「Pieces」にも思った。

 

 

満を持して、言葉に温度が伝わった。

 

 

自由だと言いながら自由じゃなかったその矛盾とものすごいメイクのhydeさんという組み合わせは抜群の相性だった。

あがいて悶絶して苦悩する美人が好きだ、あの時そう思った。

今もなおあがいていて、きっともどかしいこともあって、

この先もまぁ何するか決まってないけど、

「ツアーやりながら決めよっか?」なんていえてしまえるフットワークの軽さ。

「アンケートとったらまたマニアックなのきちゃう!」とニヤニヤしながら話すhydeさん。

 

 

さよなら重力 君は自由だ

 

 

 

どこへでも行けるそんな未来がある。

恐れずに待とう。