「EXIST!」感想 続き②
まだまだ続きます。「EXIST!」感想
6.Feel like
とりあえず、GLOBAL WORKがめっちゃ好きになる曲。
洋服買いたくなっちゃう曲。
っていうか、買ったわ。黒のチェックのシャツ買ったわ勢いで、笑。
これも、待ってました!っていう曲だなぁ。
メインディッシュが多かったなぁと思いまして、最近。
ものっすごく攻撃的でかっこいい肉汁たっぷりのステーキみたいな曲とか、
きれいめなメロディと歌詞で聴かせるうまみたっぷりのアクアパッツァみたいな曲とか、
こってりしっかり煮込んだシチューのような壮大なバラードとか
ちょっとおなかいっぱいだったところに
ものすごくきれいに飾られた前菜が届いたような感じ。この時点で前菜ではないけれども。
イタリアンででる前菜3種盛りとか、丁寧に濾された野菜のポタージュとか
でてくるとちょっとうれしい人です。いいなこの店ってすぐ思っちゃう。
そういう、いい感じで抜け感のある曲です。風通りもいいね。
絵でもそうなんですが、線がたくさんつかわれて書き込まれてる絵とか、
がっつりこってり塗りたくられてる絵とかフィルターたっぷりかけた絵とか
最初はものすごく目を惹かれるんですが、飽きるのも早いんです。
新海誠監督の描く景色や空は確かにキラキラしてリアルで素敵なんだけれども、
わたしはやっぱりジブリの抜けるような青空が大好きなんです。
つまりは、線が少ないほうが私はずっと見ていられるし、手数が少ないことで
自分の想像の幅が広がるんですね。
音楽もそうなんじゃないかと。攻めてくるものより、私はこのちょっと引いた感じに
グッとくる。
あとはリズムのよさ。「ズン、タン、ズン、タン」って足の裏までついてとるような
日本人好みのリズムじゃなく、「ッタ、ッタ、ッタ、ッタ」って
つま先だけでとる裏箔のリズムに、日本人好みのメロディがのってくるっていうのが
私の一番ツボにくる曲なんです。
いやあ、好きだわ。ほんと好き。
で、これをメンバーが「今、この感じがバンドの中で新しい」と思ってくれていることが何よりうれしい。次にも期待がかかる曲です。
7.Aoyama
どこまでオシャレな曲もちこんでくるんだ!
あーもーなんかよくわかんないけど悔しくてイライラしてくるぐらい好き(好きなんかい)
私がドロスを好きじゃなかったら鼻につく曲だったと思う。
なんだこの野郎って言いたくなったかもしれない。
でも好きなものはしょうがないので素直にかっこよくておしゃれな曲だということを認めようと思います。あー、でもなんか悔しさがにじみ出る。
この曲はPerfumeの「ナチュラルに恋して」ばりに街を歩く姿が思い浮かびあがりますね。
コートのポケットに手をつっこんでふらふらっと歩いて、時にターンしたりウインドウショッピングしたり。
「Feel like」と同様、アパレル系のタイアップついてもいいかもね!
ただ、歌詞は辛辣気味ですが。
なんだろうな、泣ける歌とか応援ソングにたいするアンチテーゼのようにもきこえるかな。
そういう曲が蔓延ってることに嫌気がさしてるような。
まぁ、かくいうドロスもテレビで紹介されている感じだと、歌詞が響いてきて泣けるだのなんだのといわれたりして
、結局中高生のあこがれとするバンドになってるわけで。
そこに、「いや、うちはそうじゃないんで。」みたいな一線を引いたちょっと冷たさを感じる内容なんだな。
曲で簡単に泣いたり励まされたりしてるけど、結局のところ自分が努力しない限りはどうにもならないのだから、
そういうのを曲に求めすぎるなよっていう感じにも読めるのね。
あくまで私が思ってるだけですがね!
山椒ぐらいのピリッと感はある。
どうでもいいはなしですが、サビ終わりの「it's gonna be alright, be alright, oh oh」
の歌いかたがuverのtakuya∞さんのそれに似てるなって思いました。
「EXIST!」アルバム感想 続き
さぁ、[Alexandros]の6thアルバム、「EXIST!」の曲感想。続き行きますよ。
2.Kaiju
タイトル最初見た時、インドとかタイみたいな東南アジア系の言葉なのかなと思いまして。
なんかそういうエステのお店の名前ありそうじゃないですか。「カイジュ」って。
で、あぁそういえばサトヤスさん今年の初めにインドいったし、そういうアーユルヴェーダ的な?異国情緒漂う曲なのかなと勝手にイメージしてたわけですよ。
したらば、「怪獣」っておもいっきし日本語やないかい。
あ、でも外国でも「Kaiju」って伝わるみたいですよ。「karate」と同じですね。
で、そういう和を意識したのかMVも和です。着物を着流して演奏するメンバーがかっこいいし、終わりのほうではちょっとアイメイクとつけまつげがほどこされてて妖艶さがプラスされております。昔のドロスのMVは倉庫だの道路だのロッカールームだの地味で色味の少ないところでの撮影が多かったので、ここ最近の「Feel like」や「Kaiju」のMVのような色を使ったMVには目を惹かれますね。絵を描きたくなる素材。
MVの感想はさておき。
まぁ「怪獣」ときいて、やっぱり激しい曲がくるのだと。
BAWDIESの「A NEW DAY IS COMIN'」のように吠えるのかと。
「cat2」でミャウミャウと泣き、「Dog3」でバウワウと吠えたその先に
ギャアオオオオオオオオオオゥ!と叫ぶのかと思いきや、ですよ。
あれ、なんかめっちゃこれオシャレやん・・・?
って、意外なギャップに胸がキュンとした曲です。
だって叫ぶって言ったって、サビで「ガオーガオー」ってかわいらしく鳴いてるだけですよ。この流れで「ギャオゥギャオゥ!」と激しくは叫べまい。
どれぐらいオシャレかというと、
最初のラップのあたりが、ちょっとヤンチャな男の人の洋服が売ってるお店でかかってそうな感じ。
この曲に出てくる怪獣は街を破壊しながら歩いているというより、都会の大通りをランウェイにしてモデル歩きしてるんだろうと思う。
それぐらいオシャレ。
洋平さんは今年大流行した某怪獣映画の主題歌を意識してこの曲を作ったそうですが、
私は怪獣映画より、アメリカのギャング映画があうなと思いました。
黒いスーツ着てサングラスかけた強面の人たちが街や倉庫で繰り返す銃撃戦。
暗躍するマフィアのボスとつながる警察。云々・・・。
浅いイメージですがそんな映像の背後に流れていてもおかしくはないかなといった
オシャレだけど硬派な感じもする1曲。
前のアルバムはガンガン攻めてくるような攻撃力の高い曲が多かったので、
その気分で今回のアルバム聴くと足を掬われるなとそこでちょっとスイッチが切り替わりました。
このしゃれこんだ感じが私にはたまらなくツボに入りました。
わー、このアルバム絶対好きになる!と確信に入った2曲目です。
3.Girl A
これね、ラジオで流れたイントロとAメロで、
このかっこいいのはドロスだろ。
って瞬時に頭が反応した1曲です。
ドロス名義になって「Adventure」とか「ワタリドリ」とか
世間様に優しく受けれてもらう曲が続いていましたし、「ALXD」もわりと正攻法で
イノシシのようにまっすぐにぶつかってくるアルバムだった為、
このあたりで少し捻りのきいた陰のある曲がほしいと思っていたのです。
それがドカーン!と去年の秋に流れ込んできたもんですから、車運転しながらも
私の頭の中お祭り状態だったの覚えています。小躍りしてた。
いやぁ、待ってた。待ってたこういう曲。
ただ、アルバムに収録されて気になるのは、ボリューム。
シングル曲がアルバムに収録されると、なんか音がその曲だけ小さくまとまって聞こえる気がするのは私だけですかね?
1曲目、2曲目でばーっと盛り上がってるその勢いで聴こうとすると意外なボリュームの抑え具合にちょっとつんのめります。
まぁ、ボリュームあげますけどね。
4.Claw-爪-
何このビジュアル系の曲のタイトルみたいなの。
と、ちょっと顔がにやついた曲。サトヤス成分でしょうか。
サビに入るとおなじみのドロス節なんですが、入るまでのイントロのジャリジャリっとしたノイズとか、ギターのなり方とか、Aメロのシャウト交じりの歌い方とか、
ちょっと変速的なBメロとか、ビジュアル系好きな人が好きになりそうな感じがものすごくする曲。いいよウェルカムだよ。ジャンルレスだよこのバンドは。
あと、HYDEさんの「MIDNIGHT CELEBRATION」をなんとなく彷彿とさせますね。
この曲の時は完全にハンドマイクで身を乗り出してきて洋平さん歌いそう。
最初、この癖のあるBメロがくどいと思ってちょっと避けてたんですが、
この部分歌えると楽しい!ということに気付いて今はしっかりはまっています。
しっかし、テーマを設けずに自由に詞を書かすと、「最高!」と「クソッタレ!」が大概毎回セットででてくるな。
この真逆の言葉が同時に口から発せられるの…あぁ、どこかで聞いた覚えがある。
サンジやな。洋平さん、サンジや。
5.O2
洋平さんがラジオで「飛行機の中で聴きたい曲」と言っていて、
そのイメージから一番気になっていた曲。
ですが、アルバムフラゲ日のSOL生放送でもついぞ流れることはなく、
これは地味曲決定や・・・と心して聞いたら、確かにいい感じに箸休めとなる曲でした。
「Feel Like」のような空気感のあって跳ねる感じの曲を想像してたら、予想以上に空気入っててふわぁ・・・って浮いてた。
聴きながら思いました。
これ、今にもジェットストリームが始まりそうや。そのうち大沢たかおが静かにしゃべりだすわ。
そして眠りにいざなわれるのです。
昔、24時まで仕事して帰るときによく聞いてたなぁジェットストリーム。ウトウトしながら大沢たかおに癒されてたなぁ。でも、大沢たかおと見ると元彼も同時に出てくるので(似てるといわれたことがあるらしい)なんとも言えない表情になる。
…私情はさておき、よろしければSOL放送終了後そのままラジオをつけっぱなしにしてジェットストリームを聞き、そのあとこのO2を聴いてみてほしい。
驚くほどの親和性を感じます。
ファルセットと低音、洋平さんの心地いい部分の声が存分に堪能できる曲。
ヘッドスパとかマッサージ受けてるときに聞いてもいいかも。
今回はここまで。
ムーンソングについて長々と
1.ムーンソング
[Alexandros]6枚目のアルバム「EXIST!」の1曲目であり、
このアルバムのリード曲にもなっている。
ラジオで曲が解禁され初めて曲を聴いた時、
”君がいなくなった世界で 僕はどれくらい残るの?”
というフレーズが印象的で耳に強く残った。
「残る」という言葉に気が遠くなるほどの時間を感じる。
どことなく「さみしい」という気持ちが浮かびあがってくるような歌詞だ。
この歌詞の主人公は静かな夜空の下、残された一人の時間をひしひしと感じ、
いなくなった「君」を想い、さみしさを募らせているのだろうか。
はたまた、この歌詞を書いた洋平さん自身にそのようなさみしさを募らせた経験があるのだろうか。
「さみしい」という感情を、その言葉を使わず行間で引き出させるとはなんともにくい表現だ。
とかく、このワンフレーズのみで私の中で様々な憶測と感情が入り乱れた。
この部分を聞いた限りだと、[Alexandros]では比較的少数派な恋愛ソングのように聞こえる。
季節は秋、アルバムの始まりがこれぐらいの切ない恋愛ソングでも悪くないと、むしろ私は大歓迎だと喜び胸をときめかせた。続く他の歌詞に期待を寄せた。
しばらくしてMVが解禁となり改めて映像とともに曲を聴く。
映像の右端には歌詞が載っていた。
曲を聴き歌詞を眺めていくうちに「あれ?」という気持ちになる。
”眩しかったあの時代を 昨夜不意に思い出した
胸の奥底に痛むよ 断片的でしかないくせして ”
恋愛ソングであるならばこの「眩しかった時代」は2人でいた時、と考えられる。
でも、恋愛ソングであるならば「時代」ではなく「その人」を思い出したと書くほうが
自然ではないだろうか。
一瞬の花火の輝きと比較し、しらけきって家路につく自分。
”We were so bright, high ”
私たちはとても輝いてい「た」。それはすでにもう過去のものとなっている。
この主人公のさみしさの正体は何か。何を失い今途方に暮れているのか。
失ったもの、それは「過去の輝いていた自分」だ。
これは青春の光が消えかけた一人の人間の、新たな旅立ちの歌だ。
なぁんだ、恋愛ソングではないのかと若干残念な気持ちになりつつも
はた、とそこで最初に気になったあの歌詞をもう一度思い出す。
君がいなくなった世界で僕は 「どれくらい」 残るの
この「どれくらい」という言葉の先にあるものが「時間」ではないことに気付く。
輝きを失った「自分」は今ここにどれくらい残っていて、はたして自分はちゃんと存在しているのか?その存在は見えているのだろうか。
という風に意味合いが変化するのだ。
奇しくも、今回のアルバムのタイトルが「EXIST」=存在する、である。
「夢」や「目標」が消え、夢中になっていたものから自分が切り離されたとき、
自分の「存在意義」があやふやになる。その不安をこの曲で投げかけたかったのではなかろうか。
なるほど、この曲が1曲目になる所以も大いに納得である。
この曲において主人公は月とともに歩き、その月によって自分の姿が照らされているのだが、月もまた照らされている存在。
「夢」や「目標」が自分を輝かせるように、「月」もまた「太陽」の光があって輝くことができる。この世界に現れ人の目にとまる。
月と主人公は同列の存在であり、この「月」を主人公は過去の自分に見立てたのだろう。
”次”が浮かんだその場所へ ツキを頼らずに向かおう
過去の輝かしい自分にとらわれることなく、先を進む強い意志がうかがえる。
っていうのを長々とかいていたんだなー、笑。アルバム発売前に。
MV公開されたあたりでぶああああああっとな何か湧き上がるものがあって。
こういう瞬間、体験したことあるんです。
高校の演劇部の県大会終了後がまさにこれだわ。
あの時、県大会の各校の代表審査員になって、なんかしらないけれど夜青少年の家に泊まって
他校の代表生徒とあの高校の作品があーだこーだとよくわからん議論をくりかえして
県の代表を選ぶっていう濃密な3日間を終え、
そこで自分の高校の部活が終わったのもありものっすごく虚無感におそわれました。
あとは、社会人になってふと大学の時のサークルのみんなで毎日絵書きまくってたときのこととか思い出してあのころ夢中になれるものがあって楽しかったな、って思ったり。
今、独身時代にあっちこっちライブで遠征してはブログに事細かに感想をあげていた情熱を懐かしんだり、
「あの頃の自分よかったなー・・・」
と思うことばっかりですよ!えぇ、大人になると。
なので、この曲は悪いけど現在のメインターゲットである若き中高生より、
洋平さんと同世代である私のほうがずっとずっと胸に響きますからね!ね!
くやしかったら歳重ねろってんだ。
さ、書き温めていたこの記事をそろそろあげて、他の曲の感想をまた次の記事に
あげるとします。