one day I remember

今思うこと、ある日いつか思い出す、その日のために

KISS

  さて、昨日からの2連休、今日は、「KISS」について。ゆっくりと。 ジャケット、さんざんな言われ様でしたけど、あれ、車の座席に無造作にぱっとおいといた感じでは なかなかお洒落でお気に入りです。大人シンプル。あけるとちょっとかわいい仕組み。曲は濃厚。 適度にポップな感じがムンムンでてます。ぴったりだ。 全体を通していうと、1曲1曲が勝負曲でものすごく聞き応えがあるんだけれども、「AWAKE」ほど 重いテーマを載せてない分、聞いた後にどっと疲れる感じはないです。 このアルバムはkenちゃんがでっぱってる、って思ってたけど 「AWAKE」のハイディ張りのでっぱりとは違った。 根底で、したたかに働いてる、そんな感じ。 作曲の数じゃなくて、「聞きたい音」という部分で主張しているkenちゃん、 このkenちゃんの本領発揮をまさに待ってた、といったところでしょうか。 ハイディの歌声も曲によって様変わりし、表現者として一段と魅力がアップしています。 いいアルバムです。積み重ねてきて、成るべくして成されたアルバム。 2.Pretty girl ライブで聴いた時よりえらくにぎやかに感じました。 で、にぎやかなんだけど音に意外とまとまりがありました。 そう、ライブの時ってパーン!パーン!と音がはじけてて何が何やらで、 且つ、バックのねーちゃんと腰振りハイディのせいで耳寄り目が集中してましたから。 あらためて、音だけ聴くとこんなことやってたんだぁ!の驚きの連続でした。 「もうひとつだけ~」のところ、あ、英語で何か歌ってると思ってたらお間抜けな日本語だったのね。 この曲のかっこよくて好きな部分の意外な事実に驚き。 イントロのトコトコトコトコトコ・・・!としたドラムが好きよ。スットコドッコイみたいで。 4.砂時計 一番びっくりした曲。アルバムではじめて聴いた曲なんですけど、うん。 「あかん、あかんてこれは・・・テちゃん!あかんて!」と、何度も車ん中で言ってました。 歌詞はすぐテちゃんだなってわかったけれども。 メロディもたしかに綺麗目なテちゃんプレゼンツだけれども。 サビの前の英語の部分と、ギターのギャギャッ!とした音とそのあとパーン!と広がるサビが ラルクでこんな曲聴いていいの!?ハイディの声でこんな歌聴いていいの!? って、なんか嬉しさと迷いが同時に引き起こされました。で、冒頭の「アカンて!」になりました。 サビ前の英語の部分を歌うハイディをこよなく愛してます。 1番と2番で微妙に歌い方が違うのも好きですわ。 ほんと、16年目にしてまた新境地を見せ付けられ、どんどん扉が開かれていっちゃって ちょっと、怖かったりもする。どこまでいくの? 冷静になって何度か聴いてるうち、いい曲だぁと思うと同時にこれはロックじゃないよなぁ、 バンドサウンドじゃないよなぁ、これは上質なポップミュージックだと思うようになりました。 うん、ロックじゃなくてほんと良いメロディが表立った歌ものとして成立しちゃってる。 ロックだからギター幾重にも重ねて重厚感出すとか、 ミクスチャーロックがそれとなく流行ってかっこいいからゴリゴリピコピコした音入れたい放題とか、 そういう薄っぺらいかっこよさに捕らわれず、メロディをきっちりつくりあげて、 もうロックかどうのこうのといった定めを必要としない曲をバンドでやる、 もう・・・もう・・・何なのよ(言葉にならない) kenちゃん「一時期こうすれば激しく聞こえるっていうフォーマットが出来上がってて・・・」 っていうのをどっかのインタビューでいってたんだけど、あれを意識しましたね、この曲で。 そんなもんに当てはめなくても、バンドの中でこれだけ良い歌ものができるという事実。 この発言聞いたときほんとkenちゃん賢いと思った。 5.spiral "踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らな損損" 御託並べる暇なく、無条件でこのノリに引きずられる、だいっ好きな曲です。 これまでの飛び道具的なゴリゴリした曲とは手法を変えてきたなぁという感じ。 でも理屈抜きで「踊り狂え!」みたいなのは一緒か。 初めてライブで聴いた時は、あぁkenちゃんがラニバの影響で懐古の情に浸りこれを作ったか、 と思ったのですが、意外や意外、あの時心動かされたのはユッキーだったようで。 "今、こういう曲がラルクにあってもいいんじゃない?俺好きだし、皆も好きだろうし。" そんな思惑を感じるのですが、どうでしょうそこんところ。ねーユッキー? あまぁーいしずくをし、た、た、ら、せ!あー、好きだー。 6.ALONE EN LA VIDA イントロのギターのアルペジオでもう「アカン・・・」ってのた打ち回りますね。いい曲です。 すさまじい「覚悟」を感じるというか、ハイディがここ1年「死」を感じる場面が多く、 それをかっつめた曲だといっていたけれど、まさに死ぬ前の最後の輝き・放つオーラ、 そういったものを感じさせる曲。歌詞がいいよなぁ。めずらしく歌詞に捕らわれました。 かなしみのあいをくつがえすあい 音だけでは分からない表現がありますよ。是非、歌詞カードをご覧ください。 見た瞬間、kenちゃんの気持ちが分かりました。 こんな素敵な歌詞つけてくれるなんてkenちゃん幸せもんだよ。 そして、この歌詞をひきだすきっかけとなる曲をつくったkenちゃんもすげーよ。 もーkenちゃんがハイディに出会えた事とハイディがkenちゃんが出会えたことに乾杯! そういえば、2番Aメロの歌詞がその曲でいちばん鍵になる部分だっていってたっけ? まさにここじゃないか!うおぉえおう! 「道先に明日がどれくらい待つだろうか 誰かの為に心を灯すだろうか」 「貴方への愛が私の証」 この部分、ライブで聴いてて打ち震えた。また、きっとそうなるんだろう。楽しみだ。 8.海辺 この曲が好きだって言う人多いですねー。私も好きです。が、テちゃん曲に関しては 「砂時計」の驚きが勝ちました。しかしながら重くて非常によい曲です。 Aメロのハイディのファルセットが丁寧に、綺麗にでてますねぇ。 そしてなんといっても2番サビの後、ここが聴き所でしょう! 荒れ狂うようなギターソロが入り、ゆらりゆらり・・・ハイディの「許されるのなら」という歌声が 忍ぶように入り込み、おずおずと不安定で控えめだった歌声が、 「あの夏まで」で、ぱーん!と広がり意志の強い歌声に変化する。 その後まさかの曲の転調。雷鳴轟く空に、一陣の光が差す光景。 歌詞にして2行分、その間に展開される物語と景色の変化、に驚きですよ。 画が容易に浮かびあがります。ここが聞きたいがために繰り返し繰り返し、ですよ私は。 9.THE BLACK ROSE これも「Pretty girl」同様、思いのほか音にまとまりを感じた曲。思ったより聴ける曲。 と、いうのもこれもまたですねライブでハイディがめちゃくちゃに荒れ狂って、 サビん所でマイクスタンド抱えたままくるーんとその場を回る、といった目の記憶が先行しており 音としてはハードに散らかってたといった印象しかなかったのです。 そう、散らかってた。が、まとまってるじゃないか!このくそ!好きだ。 AメロBメロの歌い方がまるでROENTGEN時のハイディの歌い方の様で。 品よく妖しく声が伸びてる。荒々しい曲に反してこの声!卑怯だわ。ずるいわ。 好きになっちゃうじゃないの。うわーん! で、とどめの、2番Aメロど初っ端。 「感じるぅっ方へ視線を・・・」 子宮をギュイッとつねられたような感覚に襲われ、ノックダウン。 10.雪の足跡 THE tetsu様にささげる曲。 というのは冗談で、ハイディの丸っこくて短い指をした手を思い出しました。 幸せと安堵がじーんと染み渡ってくる曲ですね。 じわり、じわり、と来るので他の曲より多少食いつきは劣ります。 やがて無性に聞きたくなるような、そんな自分に変わっていくのでしょうか。変わってくといいね。 ハイディがそうであるように。「ALL YEAR AROUND FALL IN LOVE」のように。 サビの強烈なファルセットは、冬のキーンとした寒さとピーンと整列された緊張感のある空気を 思い起こさせるけれど、その後の力強い歌声が雪を溶かすようで、さらに2番サビの後のメロディを 歌うハイディの声はふわっと包み込むようで、あったかーい。 kenちゃんの出した「素朴」といったキーワードをそのままハイディが受け継いで。 ハイディもkenちゃんもその間に挟まれた曲も幸せに包まれてて、和むー。 暖炉のわきで聴きたいね。 ぽわーんとした感じであたっかいものでものみながら窓の外の雪景色を眺めて。 ファースト「KISS」、どんな味だったでしょうか? ジュクジュクと熟れた果実をお口に1つ放り込まれるかと思いきや、 ゴージャスなフルーツ盛り合わせを一盛り食わされたようで。 はちきれんばかりのグレープフルーツ、甘酸っぱいカシス、ほんのり甘く熟れた無花果、 焼いたみかんに、最後はなんとイチゴたっぷりショートケーキ! 味はその都度変化していき、後味は満腹感に押されてわりとさっぱり! ご馳走様でした。また、今日の夜にまたいただきます。これからもずっといただきます。