アルバムの感想とは言えないストレイテナーのアルバム「Applause」感想2
ストレイテナーの新しいアルバム「Applause」の感想、続き。
5曲目の激しさと怒りをにじませた状態に、少しひねりが加えられた6曲目。
悪い酔いしてやさぐれているような印象。
あれだあれだ…CREATURESの最後に入っているあの、そう「瞬きをしない猫」
を彷彿とさせるような。
昔の曲を引き出しに感想を書こうとしている時点で、私はこのアルバムをもうファンでない人に紹介しようという気はさらさらないのかもしれない。
そもそもつぶやきの延長である。
曲のカッコよさはさることながら、書かれている歌詞に、あーそれはわからんでもないって思う。
Twitterとかはただただ私にとってつぶやいてるだけの場所なんだけど、時として社会問題やら差別問題、世論がどうのこのと大きな話題が流れ込んでくると、
なんだか世の中問題だらけで手に負えないなって暗い気持ちになる日もあって。
ただ、全部知ろうとする必要も答える必要もなくて、私は私と私の身の回りの人を守っていくしかないしそれしかできんよって最終的にはなるんだけど。
なので、「大切なモノだけぼくは守りたい」っていうのにちょっと気持ちがリンクします。
テナーもね、「世界平和」とかかかげるようなバンドではないのよね。
ただ、このバンドの空気に包まれてるととてつもなく「平和」になるから、みんなテナー好きになればいい(結局勧めるんかい)
「Parody」は、Graffitiのカップリングとしてすでに曲を知っている人からすると、
このアルバムの間に挟まれた箸休め的な位置にある曲だと思う。
ただ、アルバムで初めて聴く人からすれば、強烈に香しい果実酒のような曲だと思います。ブランデー梅酒みたいな(日本酒じゃなくなった)
色気ある曲だなぁとおもうし、「離さない」っていうときのホリエアツシの少し枯れた声がとても良い色気だと思います。
曲の展開がころころ変わって楽しい曲。
強いお酒やら香りの強いお酒ばっかり飲んでるのでここいらで本醸造酒あたりを…ということで「Dry frower」です。
香りは吟醸酒ほどは立ちませんが雑味が抑えられて、すっきりと且つまろやかとした味わい。すこしあっためて飲んでもいい。いろんな飲み方ができて、お酒好きがコスパよく飲み続けられるお酒でもある。
最初聴いた時、さらっとしててすーっと聞き流してしまいそうになるところがまさにこのお酒だと思ったわけです。
(もはや曲の紹介なのか酒の紹介なのかよくわからない)
ただ、サビの終わりが歌謡曲っぽいクセがあって面白いし、間奏とかは演奏組の技巧にゆらゆら聴き入るのが気持ちいいですね。
いくらすっきりと気持ちの良い曲だからといって聞き続けてると、終わりのほうの毒々しい8フレーズに飲まれますよ。
静かに枯れていく花みたいに静かに毒に飲まれていく歌。
ふと、アルバム全体を眺めると、ハッピーな曲が少ないことに気づく。
前作はそれまでテナーが歩んできた道の充足感とかだったりラブソングだったりで、
湿っぽさあれど全体的に幸せな雰囲気があった気がする。
まぁ、時代が時代か。
さ、そんなハッピーな曲が少ない中でのなけなしのハッピーソング「Maestro」
はじけるようなリズム。スパークリングワインだなこれは。
一応、クリスマスソングを意識してるんでしたっけ?
歌詞カードみたら、言うほどハッピーでもなかったけど「未来」っていうワードが一つあるだけでもちょっと明るいかな。
最近のテナーアルバムの後半にヘンテコな拍子、ヘンテコなAメロの曲1抑入ってるなって思うんだけど、今回はこれがそう。
「Superman Song」「A Man On The Moon」あたりの感じ。
イントロのギターのテロリロ、テロリロ。
このタイプの始まりの曲大体私大好き説。「No cut」
Dragon Ashのバラードで使われていそうなギターの音ながれてたら大体私大好き説。「No cut」
伝わらねぇ…。
たとえるお酒はないです。ただただいい曲だよ。一番泣いてしまう曲。
ただ、映画で言うならエンディングのめちゃくちゃ盛り上がるいいシーンで使われそう。
AメロBメロでぐっと抑えて押さえてサビでしっかり盛り上がるバラード。サビできちんと飛ばせてくれるバラード。
あとはもう、歌詞よ…。自分の書いてきた歌詞やら曲のことかねこれは。
回りくどい言葉もいっぱいつかって、雰囲気やニュアンスだけを伝えようとして
結果空回りして、ふてくされたりもして、笑。
歩んできた結果いま、するんと出てくる言葉の素直さに心打たれるよ。
最短ルートでこれらの言葉がでてきていたとしたら、私たちはたぶん好きになってなかったはずだから、それでいいんだ。
感性の尖りかたと、尖った感性が丸くなっていくスピードが似ていたからここまで好きでいるのだと思う。
会いに行きたいね。心からそう思うよ。
全曲が大団円のエンディングだとしたら、最後の「混ぜれば黒になる絵具」
はカーテンコールのようなさわやかさ。
よかったわ。タイトルだけ聞いたら「78-0」みたいなそれまでの流れぶった切った唐突なとがりソングかなと思ったから。「78-0」めっちゃすきやけど。
アルバムを〆るというより、次に向けてなんか爪痕残しとく、余韻ぶった切る系がたまにあるので、今回はどうかなぁと思ったら過去一さらっとした終わりだった。
2番がない。
今LINEでやってるアレキサンドロスのウェブドラマの冒頭のモノローグでも語られていた
「そもそも2番って何?1番で言いたいことを言いきったらそれで終わればいいじゃないか。」
を思い出した。車で軽やかに走り去っていくそのイメージを曲にしたら2番入らなかったのかもしれない。
車の中で聞いてた時には気づかなかったけど、「It's all right」って歌うところの「r」の部分で音程を下げてるのね。家のコンポできいたら妙にドキッとした。
そこの部分がめっちゃ好き。
フェードアウトもめずらしい気がする。
テナーの曲って「ジャン!」って終わるイメージがつよい。
最初聴いた時思わず「フェードアウトなんだあぁ…。」って言ったぐらいだから。
テナーは優しそうな感じして曲叩きつけて終わっていくようなところあるから
今回はそっ、っと置かれた気がした、曲を。優しい終わり方。
居酒屋感は途中でなくなりました。
「Applause」、いろんなテナーのおいしいところがつまってるから、この冬の贈り物、暮の元気なご挨拶等々、様々な場面でどうぞご活用ください。
でもこれはきっとテナーを好きなごくわずかの人しか読んでくれないだろうし、だれが一番読むかって言ったら自分が読むんだろうね。