12/14 ストレイテナー Drawing A Map Tour 2019 in名古屋ダイアモンドホール
CreaturesのツアーDVDをみながら、あぁこのころのテナーの演奏、インテリジェンスでキレッキレだし、オーディエンスもハチャメチャにのってて、かっこいいなぁ。今はやっぱりちょっと落ち着いたなぁ。テナーもファンも。それぞれ緩やかに楽しんでいる感じだよねー
と、思っていた私をとりあえずぶん殴ろうか。と思った12月14日。
Drawing a Map Tour 2019 in名古屋ダイアモンドホール。
今年は対バンイベントが多く気の張った場面が多かったストレイテナーにとって、
自身のワンマンツアーはきっと少し肩の力をぬいたほんわかしたライブになるであろうと思っていた。
がしかし、最初の「スパイラル」で旅の続きを始め、「the Novemberist」で冬の訪れを告げた後、
一気にバチクソかっこいいゾーンに突入していったのである。
言ってしまえば the Novemberistも、これまでに感じていた冬の寒空に一人たたずむイメージではなく、その寒空を「寒そうだね」なんて言いながら部屋の窓から眺める絵面の方が強く浮かぶぐらいだった。ホリエさんの声が柔らかくなったのもあって暖かい11月の曲になっていた。バンプオブチキンの藤君が「冬が寒くてほんとうによかった」と歌うあの温度感をこの曲から感じる日が来るとは夢にも思わなかった。
でも、その曲も終盤になると激しいライトの点滅とともに、突然吹雪が舞い込んできたかのような音に飲み込まれ、その激しさを引き継ぐように「クラッシュ」がはじまった。
イントロが少しクサいなぁって少々敬遠しがちだったこの曲、聴き続けてみればサビのとてもエモーショナルな4人の音とメロディに胸焦がされる。
胸に焚きつけられた火を絶やすことなく「Blaver」がはじまり、サビに入る手前の所でホリエさんがビシッとオーディエンスを指さすと、私はなんだかよくわからないけど今ここにいることに使命感を感じた。君がいるからと歌ってくれるから私はここにいるのだと。この曲を真実の旗として掲げたいぐらいにはこの曲は果てしなくかっこいい。
なんとなく赤に染まったイメージのある空間を一気に青に染めた「青写真」。
もう少し重たく響くかと思いきや、サビが案外リズミカルで心地よくのれる。
激しいんだけどひんやりする。そんな矛盾と付き合いながら「Blue Yellow」の声の抜けの良さに、少し力が抜けてきた。
次の「タイムリープ」もクールダウンの1曲かと思いきや、聞き流すには耳が惜しくなる、今しがたまでの熱に浮かされた状態をとどめておけよとくぎを刺されたような1曲となっていた。
バチクソかっこいいゾーンは続く。今度はエモーショナルゾーンというより踊れるゾーン。
ここで今日一のハイライトが来た。「VANDALISM」だ。
めっちゃとんがった曲だ。2013年の武道館で、「一石を投じたつもりだったが全然だった」とメンバーがしょぼくれていたが、今満を持して投げた石が胸に突き刺さっている。
順番にピンスポライトがあてられる。Aメロを歌うホリエさんは腕をだらんとさせて気だるげだ。
それがサビになると「ウラァッ!」みたいな声を張り上げ隠れてた八重歯が牙をむく。とてもじゃないけどインスタでおいしい食べ物あげてる人にはみえない。ひりついた感情がむき出しになっていていやこのカッコよさをだな…ナナイロエレクトリックツアーで見せたっていいじゃない見てほしいよこの有り様を…。と悔やんだ。
カッコよさに充てられているとこんどは今回のツアーではおそらく?ここ名古屋でしかやらなかった「KILLER TUNE」へ。
ここで、オーディエンスが待ってましたと言わんばかりに踊る飛ぶ。Creaturesツアーでハチャメチャにのっていたオーディエンス、まさしくあの時と同じでなんだよなんだよまだまだみんないけるじゃないかとうれしくなって私もはしゃいだ。
サビ前の、「ウォイウォイウォイウォイ!」って掛け声も久々に言った気がする。
この後も「SPEED GUN」「From Noon Till Dawn」とバチクソかっこいい踊れるゾーンが続いてこれが一生続けばいいのにって思った。
「さては、明日も休みだからってはしゃいんでんなぁ~?」
と嬉しそうに話し始めたシンペイさん、と、ズボンが脱げそうなひなっちから始まった気の抜けたMC。
蓄音器がある喫茶店が好きなホリエさんの話から、突然ひなっちが蓄音器からでる歌声の真似(赤い林檎に唇よせて~♪)をはじめ、そのうまさにひくホリエさん。
ホリエさんは物まねの練習を鏡の前でし、「ヨシ!」といって終わるというひなっちのタレコミからホリエさんにものまねの飛び火が。
「何したらいいんだ。」といいつつも、会話の流れでさっきの蓄音器のモノマネを披露するとシンペイさんに「よくやったね。いまのながれでモノマネぶちこんでくるの尊敬する。」と言われ照れるホリエさん。
とある名古屋でのイベントがスッカスカだった話、ナナイロ名古屋のトリは荷が重かった~…と正直な気持ちを漏らす場面も。
(客席側からすかさず「テナーが優勝だったよ!」とフォローが入る、笑)
イベントの時はものすごく頑張るらしい。ものすごく頑張って、終わった後に不意に真顔になって「届いたかなぁ。」「さぁ、届いたんじゃねぇ?」なんてやりとりをしているそうな。
「今日はもう、みんないい感じだからそんな頑張んなくてもいいね。なんか、自動操縦みたい。まかせるよ。」
ファンである私から見たら安全パイともいえる曲群でイベントを戦いぬき、
バッキバキのカッコいいレア曲たちをワンマンで力まずにやってみせる。
ちぐはぐだよなぁなんて思う。
でも、それはやる側も見る側もストレイテナーっていうバンドのかっこいいところ、ツボをお互い分かち合えてる証拠で。
子供に体をふっと預けられた時の心地よい重みみたいに、この場の雰囲気をまかせられていることに心なしか安心感を覚える。だから、気兼ねすることなく、力むことなくお互いはっちゃけられたんじゃないかなぁ今回。
ひなっちとホリエさんの会話がかぶりそうになったり、お互いうなずきあいになってきたところで
「さてはお前ら出口がわからなくなったな?」とツッコミを入れたシンペイさん。
「バレましたぁぁ~?」としれっとイッコーのモノマネっぽくしゃべるホリエさん。
OJにしめてもらおうと「出口おしえて?」とホリエさんが聞くと、困惑しながらも
「出口は、あちらです。」と客席後ろのドアをさすOJ。一瞬、どっと(ってほどでもない)笑いがおきると
しまったな…!といった表情でニンマリする他メンバー。
曲はあたたかくじんわりとしたゾーンへ。
「吉祥寺」にしろ「月に読む手紙」にしろこんな歌詞を歌うことも聴くことも今じゃすんなり受け入れている。
時を経て角が取れていくそのスピードが、自分のそれと同じようだったからよかったんだと心底思う。
「覚星」までじんわりほっこり温められたあと、少しトーンを落とすかのような「Lightning」を間にはさんで、からの「BIRTHDAY」という流れが秀逸だった。
なんとなくこの一連のセットリストが1日の時間の流れのように感じる。
「あ、今お昼だ、あ、今うっすら月が見えたころ、星がきらめきだしたぞ、寝る前に読書灯をつけたかな、日付が変わった」というイメージがポンポン勝手に湧き出てきた。歌詞もそれとなくその時間を表してるのかもしれないけれどほぼほぼ私の勝手な時間設定である。
で、「DAY TO DAY」は夜明けなんですよ。「シーグラス」は朝から海に向かうんですよ。
さっきまではただただひたすらかっこいい音楽ゾーンで、そちらが第1部だとしたら第2部は景色や時間とともにお届けする音楽ゾーンだったように思う。
これもまたストレイテナーのいいわぁぁぁって思える部分。きっと、それぞれに思う景色があってそれによってまた曲の良さも増幅するんだろうなぁ。
ここでも少々ゆるくMCを挟んで最後のゾーンに入ったんですが、
「冬の太陽」のイントロでかな?シンペイさんが手をぐぅぅぅっと客席に向かってのばしていたんだよな。なんだかとてもいとおしそうにやっていた気がする。それまでのMCで話していた「Love&Peace」な気持ちになっていたのかもしれない。年末はね、そういう素直な気持ちを言いたくなる時期らしいですから(ホリエさん談)
最後のゾーンは手堅く定番曲で終わるのかと思いきや、「羊の群れは丘を登る」が始まり、
ちょうどその曲で再びテナーに戻ってきた私は感極まる。
こういうメロディアス且つシリアスでちょっと激しいの求めてたんだよなぁあの頃。
当時、その前に出ていた「NEXUS」と「Creatures」がなかなか響かなくて。
あれからもう少し大人になった今じわじわこの2枚のアルバムの曲も好きになってきた。
逆に「羊の群れ~」が入っているアルバムはシリアスすぎて聴き続けられなかったりしている。年を重ねると曲の好みがちょっとかわっているのも面白いなぁと思う。
なんて感慨にひたりながらながれで「Melodic Storm」を聴き、あとはアンコールかぁなんて思っていると、
「ラスト!」
とホリエさんが叫んだ。メロスト本編ラストじゃなかった。
始まったのは「TRAIN」
容赦なく飛んだ。
あの曲のMVはメンバーが老いていくが、この時の客席はたぶん飛ぶたびに若返っていた。Creaturesツアーではちゃめちゃに騒いでいたあの頃よりさらに若く。
アンコールでメンバーが出てくると、またひとしきりおしゃべりが続く。
いつもはMCを終わらせようとするOJも、「終わらせてもいいけどさ、ここで曲始めたらもう終わっちゃうけど、いいの?」とすこし名残惜しそう。
シンペイさんは「あー!おわりたくないけどおわりたい!」とエモまっしぐらな発言をかます。
「じゃあ、喋る?もう少ししゃべる?山ちゃんで手羽先買って。」
と、ひなっちが言うと、すかさず笑い出すホリエさん。
「さっき楽屋で、『手羽先は食わないなぁ~。』っていってたくせに。」
とニヤニヤしていた。
名古屋めしでも手羽先はもう飽きているみたいなテナーの面々。(そのへんはyou tubeチャンネルでも発言済み)
それぞれにおいしい名古屋のごはんやさんを見つけている模様。
ホリエさんはおいしい担々麺のお店をみつけたとかなんとか。きっと食べログにも載っていない、自分だけが知っている家族でやっているような小さなお店。
「えーそれ知らない。きいてないよ。」とひなっちがいうと、
「いや言ったよー。」とふてくされるホリエさん。
「その話、あとでyou tubeチャンネル用に録らせてくれねぇ?」
と、間に入ってくるシンペイさん。
2019年中の名古屋でのライブはこの日が最後だったので一足早く
「よいお年を!」と年の瀬の言葉をいただくことに。
名古屋は年明け1発目にイベントでテナーのライブがはいっており、「来てくれる?」との問いに「行くー!」と口々に返す客席。
「ほんとにくるんだな?これで会場スッカスカだったらぶっころすぞ!笑」
と冗談で返すひなっちに「Love&Peaceはどこいったんだよ。」と苦笑する面々。
さらに、「SEX DRUG & ROCK'N ROLL!!!」と畳みかけると
「ドラッグは駄目。」とぴしゃり、ホリエさん。
まぁ、その辺はね、ナイーブになることがありましたからね。
アンコールは「SILVER STAR」と「REMINEDER」の2曲で終了。
「SILVER STAR」のレアぶりと名曲ぶりに、客席がわきだっている中、
おっと、この曲ダウンロードしてないなぁ、買わなくては!と思う私。
まだまだ聴けていない曲があるもんです。いやはや。
自分のストレイテナーの地図には意外とまだ白い部分があるんです。
やっぱりワンマンはいいなぁ、楽しいなぁ、馴染むなぁ。と思った一夜。
ただ、あのバチクソかっこいいゾーンもっと聴いていたかったなぁ。
そんな1日があってもいいと思うよストレイテナー。
まぁ、どんなセトリでもうわーってなるからいいんだけどね。