one day I remember

今思うこと、ある日いつか思い出す、その日のために

ACIDMAN 7th Album 『A beautiful greed』

奏でましょう、美しい欲 世界の淵で、あとは倒れて落ちるだけのその合間に ひけらかす、貴方を知りたいの、今更 無視していた存在を 貪る様に それで終われるなら本望 紫煙と私怨 これから濁る世界を 私はきっと愛している 大木さんの中にある純度100%の仏様のような部分はこの世界にとうに諦めをつけているんだけど 大木さんの中にあるどろどろとした欲の目では案外と世界がきれいに見えたりして。 きっとそんなもんなんだろうな、って思えたアルバムです。 欲があるからやりすぎて行き過ぎて汚くなってしまったものはもちろんたくさんあれど、 欲がなかったら生まれてこなかった美しいものもあるよね。このアルバムのジャケットの色とか。 太陽が西に傾くときの美しさをきっと私たちは名前をつけて口にしたくなったんだ。 焼けるような「朱色」、貴方の欲がきちんと形になって嬉しい。 昔はとかくこっぱずかしいぐらいのポエマーだったんですけど (その事実を知ってるのはおそらくここを読んでる人の1,2人ぐらいか) 今でもその名残があるため時折こんなはじめ方をしてしまいます。 今回のポエミーな部分の最後の一文は大学ぐらいの時に思いついた言葉で なんか、妙に気に入ってます。 特に、ACIDMANを聞いた後はそんな感じです。さ、とっとと曲感想に参りましょう。 1.A beautiful greed アルバム表題曲にして、インスト曲。ACIDMANはほぼ、1曲目インスト型ですね。 1曲目ガッツリ派な私故、よっぽどいいインストじゃないと2曲目から聞いちゃうよ?これ以降。 と、危惧したんですがびっくりするほどツボにはいった曲です。 まず、ピアノ!ピアノはずるいよー。今までのACIDMANのインストにはなかった感じです。 しかも、大木さんがひいてるんだよね。なかなかにたどたどしい。それがまたいい。 久石譲、あるいは坂本龍一ばりの美しい曲です。これだけでもうどきどきした。 2.±0 醜いな!っていうのが最初の印象です。あけすけに言わせてもらうと。 泥臭いというか、うん。 4~6枚目のアルバム曲ってこう、きらきらしてて空間があってそこに大木さんの声がすぅーっと 溶けいるような曲が多かったんだけど、この曲は空間なんてあったもんじゃなくて 隙間なく渇望の音と声が詰まって体当たりしてきてきます。痛い痛い。 3. CARVE WITH THE SENSE この前「DEEP FOREST」って曲に似てるっていってましたけど、タイトル違いました。 「SILENCE」です。サビで「DEEP FOREST」って歌ってるんだった。 叫べ!って感じの曲なんだけど思いのほかサビのメロディが際立ってききやすい。 切な激しい曲。 4.Who are you? Aメロが好きすぎます。このぐらいの激しすぎず大人し過ぎずで半音が続く曲が非常に良い。 踊りだしたくなります。シドといいACIDMANといい4曲目に私が好きな曲がくるのはなぜ? 「あなたのことを教えてほしい」なんて、今までの歌詞じゃなかったよなぁ。それも新鮮。 5.Under the rain とにかく、失ってしまったものを嘆くか、はき捨てるようにあざ笑うか、 それでも世界はまだ美しいと賞賛するか、の、どれかになるんですけどACIDMANの曲は。 これは一番最初にいった失ってしまったものを嘆く歌ですね。 あの美しさもこの美しさも君が教えてくれて、僕はまだその美しい思い出から抜け出せずにいる。 って、男性ヒップホップアーティストが書く女々しい失恋ソングみたいでちょっと、確かに、 これは賛否両論あってもおかしくはないなぁ。まぁ。 なんか一時期ACIDMANのBBSこの曲で荒れてなかったっけ? ただ、対象が「何」であるかよね?この場合。 6.ファンタジア まぁ、このアルバムの中でいちばんいい子ちゃんな優等生曲です。そりゃフェスで歌うわな。 まったりします。スピッツの曲みたい。なので、ごめんなさい、正直ほかの曲のインパクトに負けて たぶん飛ばしてしまうであろう曲。ごめん、ほんとごめん。 この曲でもまた、「世界が終わるから」と歌ってますね。そんなんばっかりよ今回。 7.星のひとひら アルバムの中でいちばん落ち着く曲。これまでのACIDMANの曲に一番近い曲。 7曲目ってだいたいこういう落ち着いた曲がおおい。 8.HUM 歌詞短いし一瞬で終わるかと思って、むしろインストだと思ってたら もんのすごぉーくアンダーグラウンドな曲でした、UKサウンドばりの。 湿度95%のコンクリートの建物の中で水遊びしてるような感じです。 鬱な時に聞いてはなりません、けして。溺死しそうだ。 普通の時に聞いても内臓ぐるぐる引っ掻き回されるかのようで、 女性特有のあの子宮が痙攣する痛みみたいなものがせまってきます。あー気持ちが悪い。 新しいアプローチですね。これもまた。あ、嫌いじゃないですむしろ好きです。 9.ucess(inst.) お得意のインスト、いつものインスト、故に、飛ばします。 10.Bright&Right 前アルバムの「オールドサンセット」みたいな、知らない間に足がステップ踏んで踊りだしてる曲。 基本的にノリのいい曲が好きな私です。 Bメロにあたるのかな?「時流れ~」からの声が重なるところが好きです。 Everithing is alright!な、ノリですね。このフレーズ大好きなんです。 気づけば「好き」がいっぱいな曲。 11.I stand free この手のバラードは正直おなかいっぱいで、たぶんこれがこのアルバムのラストの曲 になるんだろうなぁって思ってたんですけど違いましたね。 最後の曲になった時点で私この曲聴かずにたぶん1曲目に戻りそうだもの。 ライブなんかで聴いて感動すると向こう3日ぐらいは聞き続けるんですけど、それ以外は 基本的に避けてしまう曲です。 でも、この先にあるほんとのラストが良いだけについでにこれも聴いとこうか、ってなる。 ACIDMANのバラード好きな人にとってはほんと失礼極まりない感想かいてますね。 12.OVER どっかで聴いたような懐かしさとともにふわりと涙がこぼれる曲。 悟った曲でも大げさに世界を歌う曲でもなく、確実に彼らが歩んできた道の上で生まれてきた 素直な曲だと思いました。そう思えたからこそ、あんまし最後の曲で泣かない私が泣いた。 なんかもうこのままACIDMAN終わってくような気さえするし、逆にこれからも続いてく予感も するし、ってなもんでうわああぁぁぁっと。彼らの後姿と道が見えるんです。 大木さん歳取ったなぁ・・・昔は背伸びして偉ぶってたけど。今のその姿が本当に好きだわ。 そりゃー、メジャーデビューから7年もたったもの。 7枚のアルバムを並べたら、思いのほかきれいで、気が遠くなるような年月を感じました。 何かを失って、何かを得て、悲しみと喜びが同時に発生して、 それでも最後にはゆるやかに笑えるんだと、そう思えたらいい。
A beautiful greedA beautiful greed
(2009/07/29)
ACIDMAN

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