モラトリアム
あー!車の中に「螺鈿迷宮(下)」をおいてきてしまった・・・!
うおっぉおおう、今日中に読もうと思ったのに今いいところなのにすっきりして眠れないじゃないか。
仕方ない、「聖☆お兄さん(3)」でも読んで、笑って寝るか。
「螺鈿迷宮」はミステリーとしておもしろいんじゃないかなぁって思います。
私が読んできたこれまでの2作に比べて、でもバチスタよりかはインパクトにかけるっていう
意見が多いなぁ。なんだ、そんなにバチスタがいいのか?
そりゃ最初の作品は誰だってインパクトあるよ。
次はバチスタかイノセントゲリラかなぁと思いながら、ちょっと小休止もかねて
「ジェネラルルージュの伝説」を購入。
ジェネラルルージュの凱旋にチラッと出てきた速水の過去の武勇伝。
と、作品解説、世界観等々、まぁ、私みたいに突拍子もなくどっぷりはまり込んじゃった人間に
うってつけな本です。えへ。
さらに今、先月号の「ダ・ヴィンチ」もアマゾンさんの買い物カゴに入れそうになってます。
あー、はまるとこんなもんですよ。
私は活字中毒ではございませんが、本は読む血筋の人間のようです。
小学校のときは学校の図書館もそうですが近所の図書館もよくいってよんでました。
中学は大して本は読まなかったような・・・あ、ライトノベルにはまった時期でした。
なので読んでましたね。
高校はいってライトノベルは読まなくなりましたが、ふ、と見せられた詩集から江國香織に
はまり、村山由佳、森絵都、で、校長の話の関連でよしもとばななにどっぷりつかりました。
最初はね、江國さんの大人っぽーい恋愛小説にどきどきして読んで、
だんだんそれが野暮ったくなって読みづらくなってちょっとへんてこりんな人たちの物語に
魅力を感じてよしもとさんに走っていったんだ。
なんだか、こんなどうしようもないひとたちなのにこんなにもやさしさにあふれて救われていて、
っていうのが胸にしみたんだわ。そのときの私はどうしようもない博愛主義者ぶりでした。
よしもとさん自身はご自身が書いてる小説の登場人物を変わった人って言って認めてるんだけど
やたら感受性が高ぶってるそのころの私にはその登場人物たちこそが本当にピュアで素敵な
人なんだと思い込んでいたからねぇ。王国シリーズなんて、もう、ね。
でもあのシリーズは本当に好きです、いまでも。
大学はいってもしばらくはその兆候はあって、さらにへんてこりんな道に進もうと狗飼恭子とか
小川洋子とか読んでみたけどちょっと気持ち悪くなってしまった。あまりにも現実離れしたふよふよとした空間で残酷なことを書いていたりするからそれがちょっと現実に響いた。
川上弘美は江國さんよりちょっと不思議なぐらいの世界で好きになった。
それから、二次創作小説でものすごく好みの文章をかかれる方が純文学好きで、
私も必死になって三島由紀夫を読もうとしたけど無理でした。
あるときは洋物を読もう!(HYDEが「ダヴィンチ・コード」を読んでいたから)と、そのダヴィンチコードの作者の別作品である「天使と悪魔」を読んだけど上巻でとまってます。洋物無理だ。
森博嗣の小説の装丁がかっこよくていわゆるジャケ買いをしたい衝動に駆られ、5分ほど立ち読みするもやはり理系文章についていけず断念。唯一「魔的」という詩集をもっています。
断片的な言葉の響きの素晴らしさを感じ取りたいのならこれで十分。
で、そうして社会人になっていつしか本から離れてしばらくたったのですが
ここへきてまた読み始めました。波があるのです、どうやら。
そして同時に幾人かの作家の作品を読むことはできないようです。誰か一人の作品を
読み続けるのです。徹底して。そういや、ちょこっと前は森見氏でした。兄の影響で。
昔は一字一句、センテンス、それらの響きのよさを感じとるのが楽しみでしたが、
今は、本全体を通して自分自身が飲み込まれていく、本を読んでいて自分の集中力が
ぐっと高まっていく瞬間が楽しみです。本当にその本を面白いと思ってい読んでいるのだから。
読むのもずいぶんと早くなりました。昔は1文の意味が分からないと先に進めなかったからね。
ひどく苦労して、一生懸命自分の中に言葉を残そうとして結局何も残らなかったんだろうな。
そうです、昔は、素敵な言葉にあやかりたかったものです。
ぞくにいう引用癖です。
この言葉を知っている自分かっこいい、この言葉に共鳴できる自分がかっこいい、
この陳腐な思いを崇高な言葉で表現してくれる誰かはいないものか、
そんなものを目的としながら本を読んでいた節もありますね。
どうあっても、それらは自分の言葉にはなりえませんが。
また、引用してかっこよく文章かいてる人がかっこよくみえたんだ。な。
舞台の脚本も、何かの作品を引用した話が好きだったもんな。かしこそうで。
いろんな人の言葉に自分を擦り合わせて自分のものにしようとし、
世の中と照らし合わせて世界の条理と不条理を手中に収めたかのようになる。
それがモラトリアム。
「螺鈿迷宮」にでてくる主人公の留年医学生はちょうどそんな感じ。
なんだか懐かしい気持ちになりました。
結局ね、かっこよくなくたってきれいじゃなくたって経験に勝るものはないよ。